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アスベストを使用した建物の解体工事の手順|レベル別の必要書類も解説

2025-04-22
カテゴリ:くらし、空家問題、解体工事
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「古い建物を解体したいけれど、アスベストが使われていたらどうすればいいのか不安…」 そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、以下の内容をわかりやすく解説しています。

・アスベストの危険性とレベルごとの違い
・作業レベル別に必要な届出や対策
・アスベスト含有建物の解体工事の流れ

まずは本記事を参考に、安全な解体準備を始めましょう。
アスベストの危険性
かつて「奇跡の鉱物」と称されたアスベストは、現在では健康被害を引き起こす危険物質として認識されています。
建材として広く使われた歴史があり、解体時には十分な対策が必要です。
本項では、飛散性に応じて分類された「レベル1〜3」の危険性についてわかりやすく解説します。


レベル1

発塵性が高く、危険性が大きいのが「レベル1」に分類されるアスベストです。
主に、建物の防火材や外壁・天井などに吹き付けられたアスベストがこれに該当します。
このタイプのアスベストは、作業時に大量の粉じんが発生し、アスベスト濃度も非常に高くなります。
そのため、作業には高度な安全対策が求められ、防護服や高性能な防じんマスクの着用は必須です。
作業場所の完全隔離や、作業員の出入りを管理するための前室(更衣室・洗身室)の設置も義務付けられています。
また、工事着手の前には関係機関への届出が必要となり、厳重な飛散防止措置を講じたうえで作業を行います。
建物にレベル1のアスベストが使われていた場合は、解体費用も高額になりやすいため、早めの確認が重要です。


レベル2

「レベル2」に該当するアスベストも、発塵性が高く健康リスクがあるため、慎重な取り扱いが必要です。
対象となるのは、断熱材、保温材、耐火被覆材などに含まれるアスベストです。
レベル1ほどではないものの、作業中に粉じんが発生しやすく、作業者のばく露リスクが高い点に注意しましょう。
そのため、レベル2でも作業場所の隔離や湿潤化、前室の設置など、徹底した飛散防止策を講じなければなりません。
また、工事開始の14日前までに「特定粉じん排出等作業実施届出書」などを提出する義務もあります。
作業員には保護具の着用が義務づけられ、除去後の必要な封じ込めや処分も不可欠です。
レベル2に該当する建材は、ビルや工場など大規模施設で使われていることが多いため、事前調査がとても重要です。


レベル3

「レベル3」は、比較的発塵性が低く、他のレベルと比べて対応が緩やかとされるアスベストです。
対象は、セメントや樹脂で固められたスレート材やビニル床タイルなど、主に成形された建材です。
通常の状態ではアスベストが飛散することは少なく、安全性が高いとされています。
ただし、切断や破砕といった作業を行う際には、アスベストが飛び散る可能性があるため注意が必要です。
作業の際は、水や薬剤を散布して建材を湿らせる「湿潤化」を行い、粉じんの飛散を抑えながら手作業で慎重に解体します。
このレベルでは、作業場の隔離や前室の設置、事前届出は不要ですが、作業者のマスク着用や周囲への配慮は欠かせません。
レベル3は一般的な住宅にも多く見られるため、費用負担が比較的少ないケースが多い一方、正しい手順を守ることが求められます。
アスベスト使用の建物を解体する時の工事の流れ
アスベスト含有建物の解体では、飛散による健康被害を防ぐため、通常より厳格な手順と安全対策が求められます。
発注者にも届出などの義務があり、解体前に正しい流れを理解しておくことが重要です。


STEP1:事前調査

アスベストの有無を確認する「事前調査」は、すべての解体工事において最初に行う重要な工程です。
調査は解体業者が担当し、設計図や目視、必要に応じて成分分析を行います。
結果は発注者に書面で報告され、現場にも掲示されます。
法令により、調査結果は3年間保存することが義務付けられています。
2022年からは延床面積80㎡以上の工事に、電子システムによる報告も義務化されました。
さらに2023年以降は、調査者に専門資格が求められるようになり、信頼性の確保が強化されています。
発注者も建築年や図面を参考に、事前にアスベスト使用の有無を把握しておくと安心です。
調査結果は作業レベルの判断材料となるため、後の手続きにも大きく影響します。


STEP2:必要書類の作成、提出

アスベストの使用が確認された場合、次に行うのが必要書類の作成と提出です。
特に作業レベル1または2に該当する場合は、複数の届出が必要で、提出期限も厳しく定められています。

書類名レベル1レベル2提出先期限
工事計画届出書必要不要労働基準監督署作業14日前まで
特定粉じん排出等作業実施届出書必要必要都道府県知事作業14日前まで
建築物解体等作業届必要必要労働基準監督署作業当日まで

平成26年の法改正により、「特定粉じん排出等作業実施届出書」の提出義務者は発注者に変更されました。
レベル3では届出不要ですが、調査や作業計画は必要です。
書類の提出を怠ると罰則を受ける可能性もあるため、スケジュール管理は徹底しましょう。


STEP3:近隣住民への告知

アスベストを含む建物の解体では、安全確保に加え、近隣住民への配慮も欠かせません。
作業前には現場に掲示板を設置し、必要な情報を公開することが法令で定められています。

掲示内容の例:
・アスベストの使用有無
・届出の実施状況
・飛散防止対策の概要
・特別教育を受けた作業員である旨
・工事期間
・施工業者名と現場責任者名
・石綿作業主任者の氏名
・現場への立ち入り禁止

上記の情報は、住民の安心感を高め、不要なトラブルを未然に防ぐ効果があります。
アスベスト未使用の場合でも「使用なし」の旨を掲示することで、より信頼を得られます。
丁寧な説明と掲示対応は、円滑な工事進行にもつながるでしょう。


STEP4:作業の準備

アスベストの除去作業を始める前には、しっかりとした準備が必要です。
まずは、足場を組み立て、外にホコリが飛び散らないように養生シートを張りましょう。
レベル1や2に該当する場合は、粉じんが漏れないよう、集じん装置や排気装置を設置し、作業エリアを負圧状態に保ちます。
この「負圧隔離」によって、空気が外に漏れにくくなり、アスベストの飛散を防げる仕組みです。
さらに、建材を取り扱う前には、水や飛散防止剤を使って湿らせることで、粉じんの舞い上がりを抑えましょう。
準備を丁寧に行うことで、作業員の安全を守りつつ、近隣への影響も最小限に抑えられます。


STEP5:アスベスト含有建材の除去

準備が整ったら、アスベストを含んだ建材の除去作業に入ります。
この作業は、特別な教育を受けた作業員が、防護服や保護マスクを着用して慎重に進めます。
建材はあらかじめ湿らせてから、手作業でゆっくりと取り外し、粉じんの飛散を防ぎます。
取り外した建材は、破れにくい袋に二重で密封し、飛散しないように厳重に管理します。
レベル1や2の作業では、除去が終わった後に有資格者が現場を目視で確認し、安全が確認されてから隔離を解除します。
使用した工具や保護具もアスベストが付着しているため、忘れずに洗浄や処分を行います。
作業場全体を丁寧に清掃し、最後まで安全に配慮しながら作業を完了させます。


STEP6:処分場へ廃棄

除去したアスベストは、産業廃棄物として専門の処分業者に運ばれます。
処分には「マニフェスト」と呼ばれる管理票が必要で、これを使って運搬から最終処分までの流れを記録します。
このマニフェストは5年間の保存義務があるため、発注者側でもしっかりと保管しておく必要があります。
また、廃棄を依頼する際は、正式な契約書を交わすことが法律で義務づけられています。
アスベストは有害物質のため、不法投棄やずさんな処理が問題になることもあります。
そのため、信頼できる業者に依頼し、きちんと処分されているかを確認することが大切です。
処分までの流れを事前に把握し、安心できる体制を整えておきましょう。
まとめ
アスベストを使用した建物を解体する際は、発塵性に応じたレベルに合わせて、届出と安全対策が必要です。
特にレベル1・2では、作業前の届出や隔離措置、専門的な除去作業が義務づけられています。
また、発注者にも事前調査や届出の責任があるため、正しい流れを把握しておくことが大切です。
信頼できる業者に依頼し、健康被害を防ぐための準備を徹底しましょう。
富士産業株式会社

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